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JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】

金曜日、丁未CTを下見していたライダーが感動しながら帰ってきた。そこには信じられないほどの美しいグラストラックが待ち構えていたのだ。こんな所走っていいのだろうか? と一瞬、幻のテストコースの中にいるような感覚になった。それだけでない。森の中を疾走するエクストリームテストに、ザクザクのクロステスト、廃墟となったテーマパーク、そしてボリュームある高速林道…。そのどれもがライダーの感性を刺激するものばかりだった。本誌宮崎が体当たりで初挑戦した夕張2DAYSの世界を紹介しよう

PHOTO/ANIMALHOUSE、DAIGO MIYAZAKI 
TEXT/DAIGO MIYAZAKI


全日本エンデューロ選手権
第4・5戦 夕張2デイズエンデューロ

■日時/2013年7月13日(土)・14日(日)
■会場/北海道夕張市 石炭の歴史村駐車場を基点とする夕張市一円



JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
深緑の山奥へ。テストとテストを繋ぐルートがもう一つの主役だ
エンデューロの魅力はルート(リエゾン)にある。タイム設定が甘くなかったので景色を眺める余裕はなかったけど、ライダーの五感で夕張の山深さを感じた。オフロードバイクに乗ってて良かったと感じるひととき。これを読んでいる読者の方、ぜひ出てほしいなあ



レースで頭の中をいっぱいに出来る幸せ

7月13日土曜日。前日に下見を優先したため、車検を本日受ける僕は、気持ちが落ち着かずにAM4時に起床。JECの朝は早い。隣の吉川和宏さんやイシゲさんらも、かなり早く起床されて、すでに手を動かして準備している。この雰囲気も僕は好きだ。とにかくJECは、朝から晩までレースのことだけで頭の中をいっぱいに出来る。それは、本当に幸せなことだと思う。

車検を無事に通過し、パルクフェルメ(PF)で保管。IAは7:45からPF入場が始まり、1組目は8:00からスタートしていく。IAワタライと握手して見送ったあと、僕は8:07にPF入場、スタートは8:22だ。今回は3人1組でスタートし、東大阪のショップ『MSニュートン』の高橋信也店長や茅森和昭さんとご一緒することに。

意気揚々と出発すると、いきなりシングルトレール系の林道があり、やがて北海道特有の高速林道へ。前走者と同じく、僕もたまに景色を見たりして走っていた。今回で4回目のJECとなる僕は、正直いつものように走行すれば余裕でオンタイムで帰ってこられるだろうと思っていたのだ。

最初のCTは国立公園跡地の丁未(2.1㎞)。前日下見してきた(僕は時間がなくてできなかった)デコボコフレンズの田中弘行さんは「見るだけで感動しちゃうよ」と話すだけあり、言葉では表現できない世界だった。まさにグラストラックで、緑と黄色いコーステープの対比が美しいこと! 1周目は下見走行を兼ねているのでタイム計測はないものの、ラインを見たり、難しい箇所を体感するために、そこそこのペースでアタックする。

続いて丁未のETは、4.3㎞とやや長く、ガレ場、土、若干の沼など路面変化も激しく、難しい。滑る路面を右に下るセクションは、たまたま動画を見ていたので、ラインを間違わずに済んだ。

テストを順調に終えて、ルートをこなしていくと、川渡りのセクションへ。なんと大きな岩をステアケースとしてクリアしなくてはいけない箇所があった。「げっ、北海道のエンデューロってこんなにレベル高いの?」

なんとかクリアして、夕張のテーマパーク跡地を走行しながら、チラっとバイクにつけた腕時計を見ると9:24。あれっ、タイムチェック(TC)は9:25だったんでは? 大きなミスもないし、そんなわけはない! 腕時計を2度見、いや3度見したが間違いはない。もうそこからは全開。いきなり遅着かよ。早く戻らなければ! ようやく駐車場に戻り、ピットを横目に全開でTCに滑り込む。ガス補給も出来ない。

「1分遅着…いや、2秒残っていたから、OKです」と係の人に言われて、ギリギリセーフ。夕張、ヤバすぎる…。

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
1980年にオープンした石炭の歴史村内の遊園地「アドベンチャーファミリー」は、夕張市の財政破綻後、2006年に閉鎖。バンクが急で過激なゴーカートコースもルートとして味わった



ついに来た、初のタイヤ交換

あとから聞くと、このタイトな設定にはIAライダーでさえも苦戦するほどだったようだ。僕だけでなく、周りの皆もペースアップせざるを得ない。思えば、先ほど地元のライダーが林道で僕を抜いていったけど、これにはちゃんと理由があったのだ。

後日、イシゲさんにこの件を話すと、「自分も油断してしまっていたけど、内山(裕太郎)君は時間と距離を計算していて、川で『急がないと危ない』と声に出していたし、下のクラスのライダーもそれが出来ていた人もいる。だから、主催者に文句を言うのは筋が違うのではないか」と。僕には、いい勉強になったと思う。

今回参戦されていたフサベルジャパンの産方卓也氏もタイム設定に焦りを感じていたようだが、ブログで書かれているように、主催者から事前にタイムと距離が発表されている。1日目に適用されたAタイムは33・2㎞を58分で通過するというもので、平均時速に置き換えてみれば、相当なハイスピードが要求されていることを、ライダーは理解していなければならなかったのだ。

夕張のタイム設定をおこなったSUGOの藤原さんは「今まで緩すぎてダラダラしちゃいがちだったので、今回は少しキツメにして満足感を感じてもらうようにしました。これも定義とは違う意味での『感動エンデューロ』という今年のテーマに沿ったものなんです」と後日談。

さて、僕や同じ組の高橋さんもペースアップしたので、その後はお互いにピットで4〜5分くらい余らせることが出来て、心に余裕が出てきた。各テストではマシンの故障やミスが怖くて、アタックしきれていなかったものの、無事に3周を終えてプレフィニッシュへ。この後はいよいよムースのタイヤ交換だ。PFで時間調整をする際に、オープンエリア中嶋メカの指示通り、作業効率を上げるために携帯したペーパータオルでリムを拭いておき、ビードストッパーを緩めておく。

そしてピットに戻り、15分のワークタイム。この時間内に作業を終えてTCを受けなければペナルティがつく。今日までに何度もお世話になったMVアグスタジャパンの肥後メカ、中嶋メカという贅沢な布陣のヘルプもあり、過去最高にスムーズなタイヤ交換をできた。ちなみにJECにおけるメカのヘルプというのは、工具の受け渡しなど限られたものでしかない。整備も含めて、あくまでもライダーの技量が試されるのだ。しかし優れたメカの工具の受け渡しや、口頭でのアドバイスは、本当に凄い。ライダーは何も考えず、身をまかせる感じでOKだ。

僕自身も練習の結果を踏まえて工具の使用順番などを決めておいたので、自分で言うのも何だが、かなりスムーズだったと思う。タイムを4分余らせたので、さらに指示に従って、緩みやすいサイドスタンドやシフトペダルのボルトを増し締めして、無事にPFへ。

広島に続き、IAで圧勝したのは釘村忠選手だった。WR250 Rで参戦した鈴木健二選手は、乗り切れないらしく5位に沈んだ。ここのところ好調の内山裕太郎選手は2位。イシゲさんはXTで2回、CTで1回トップタイムをマークして3位。さすが、世界選手権に挑戦する男は凄い! と思った。

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
初のタイヤ交換は大成功!
DAY1終了後のワーキングタイム15分で後輪のタイヤ交換に初挑戦した。この日のために会社から帰宅後も練習した甲斐があった。肥後メカと中嶋メカのおかげで、ノーミスでやりきれた。さらに経験を積んで、上手くいかなくても焦らず、また、前後交換できるように頑張ろう!
JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
プレフィニッシュ待機時に、リムをペーパータオルで拭いておくと作業効率UP。ビードストッパーも緩めておいた

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
プロが補佐してくれると快適! ビードを落とした僕に、肥後メカがすでにストレートレバーとハンマーを用意してくれている

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
新タイヤをはめ込む僕に、今度は中嶋メカが曲湾したレバー2本を渡そうとしている。1人だとレバーを探していただろうな…。感謝です!

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
4分を余らせて、なんと余裕の記念撮影。ハスクバーナレーシングサービスはオーナーの特権。お世辞抜きにプロのサポートは最高だ

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
時間があったので指示に従って、緩みやすいボルトを増し締め。ステップとサイドスタンドの取り付け部はどちらも緩んでいた

JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【2】
次はバッテリーの両端子。こちらも緩んでいたので増し締めしておいた。ピットインごとのガソリン補給も相当に助かった





JEC YUBARI 2DAYS ー本誌宮崎が北海道公道エンデューロに初挑戦ー【3】へ続く

月刊『ダートスポーツ』2013年10月号(http://www.zokeisha.co.jp/dirtsports/archives/2757
に掲載された記事となり、情報は発売日当時のものとなります。



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