イタリア発、極上のファンバイクが日本に上陸。その名も『VENT MOTO』!
まずはVENT MOTO(ベント モト)というブランドをご紹介しましょう。
イタリアのオフロードメーカーで、イタリア本国ではジュニアやユースライダーの育成に情熱を注ぐメーカーとして知られています。
そのヒストリーを紐解くと「HM」というブランドに行き着きます。80年代後半以降の欧州のエンデューロシーンに精通している方なら、ピンとくるはず!
1983年にMOTOスパとしてスタートし、1988年、イタリアにスペイン製のトライアルバイク「モンテッサ」を輸入スタート。その後ホンダイタリアスパとMOTOスパが業務提携を開始しました。ヨーロッパのエンデューロシーンでホンダ車活躍の土壌を作ったこの会社は、「HM」というイニシャルを持ち、日本のオフロードメディアにも登場するなど、知名度も高まっていました。
以後HMはトランパス・パーカー、ステファン・メリマン、アレックス・サルヴィーニ、ミカ・アオラなどそうそうたるレジェンド達の成功に寄与、2008年〜2011年、2013年に5つの世界タイトルを獲得しています。
1994年からは若年層向けの原付モデルを開発生産を開始。
2017年にMOTOスパを引き継ぐブランドとしてVENT MOTOが誕生。
現在はユーロ5に適応する125ccモデルなどを生産し、EICMAなどでも注目されています。
そのVENT MOTOを日本で扱うのがVENT MOTO JAPANです。
国内上陸したばかりの試乗車をダートスポーツインプレッションでおなじみのIAワタライ(渡會修也)さんと、奥様の渡會いずみさんに試乗していただきました。コースは千葉県成田モトクロスパークです。
BAJA RR 50
¥792,000(税込)
Minarelli製水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載した50ccモデルのレーシングバージョン。ヨーロッパではユース対象のクラスとして50ccがあります。このエンジンは同クラスのBETAやファンティック 、ヴァレンティなどと同じものを搭載。イタリア本国では60、85、100cc以上のボアアップキットや乾式クラッチなど派生パーツが多く、いじって遊ぶ楽しさもありそうです。
「エンジン音が懐かしい! CRM50/80、DT50などを思い出させるサウンドです。今回はフルパワー化されていない状態だったので、やはりコースの登りでは物足りなさはありますが、フラットなセクションでのレスポンス、軽快性はかなりのものです。2ストトレール全盛期だったころを思い出します。フレームのしっかり感、サスの作動性の良さ、加えて“超”軽量な車体。下りや荒れた路面での路面追従は他にはないものがありますね。上級者が乗ったら調子にのってしまいそうな…気を付けないと。僅かですがアスファルトの公道を走ったときに加速が気持ち良くて、これで軽めのオフロードツーリングに行ったら気持ち良いだろうなと思いました。」(IAワタライ)
「体格的にキッズ用ミニに乗れない子供にのせるマシン、子供のステップアップマシンにぴったりかと思います。また、大人が乗った場合は、小排気量故に油断するとエンストをしたりとなかなか操作がシビア。そこがまた大人のファンバイクとしても面白いところだと思いました。見た目は『さすがイタリアのマシン』と言いたくなるかっこよさ。ナンバーもつくので色々遊べそうですね。」(渡會いずみ)
BAJA RR 125 4T
¥990,000(税込)
トレールバイクの位置付けとなる125ですが、このモデルはSTD(BAJA 125 4T ¥836,000 税込)とフレームが異なる(アルミ製)レーシングスペック。Minarelli製エンジンはユーロ5に対応しており、可変バルブの効果もあって低速から高速までパワフルかつトルクフルに回るエンジンが特徴。かつてのイタリアンハスクバーナTE125を取り扱っていた大崎代表は「当時はユーロ3仕様、キャブで合わせこんでいたので、全体的にトルクが不足。自分でミクニのTMRキャブや特殊なジェット(大崎氏はかつて欧州のミクニに従事したキャリアあり)を使っていましたが、このエンジンはFI仕様で進化していて、当時のエンジン性能を越していますね。と話してくれました。
サスペンションはスペインのOlle製の「R16V」という名称のものを装備。フロントはプリロードとリバウンドの調整が可能です。
「サスペンション性能が予想以上に高いです。下りではフロントの安定感。立ち上がりのギャップではリアの追従性。荒れた路面も優しく吸収してくれて疲れづらいですね。このエンジンはベータやファンティックなど多数のモデルに使われていますが、エキゾーストとセッティングによるものか、中速からの伸びが素晴らしく125にしてはギアチェンジが忙しくないですね。『優しいけど本気出すと速い』そんなキャラクターです。とにかく扱いやすい。ビギナーから上級者まで楽しめるモデルですね。
コンビブレーキ(リアブレーキに追従する形でフロントブレーキも効く。欧州の車両基準に沿った仕様)に関しては、今回の試乗コースが赤土のスリッピーな路面だったこともあり下りのコーナーでは、正直ないほうが良いと思いました。レースやコースでの走行ならば解除(ディーラーに解除のノウハウあり)することをオススメします。」(IAワタライ)
BAJA 50 2T KIDS-MINICROSS
¥297,000(税込)
キッズ用50ccマシン。空冷2ストロークエンジン搭載のオートマ仕様です。フロント14インチ、リア12インチの65ccくらいのサイズで、オプションではさらに小さいホイルもあるようです。VENT MOTOのラインナップの中でこのモデルのみ中国生産。他はイタリア生産ですね。
大崎代表は「現在キッズクラスはPWなどの入門バイクとKTMなどの本格レーサーの二極化となっていますが、その中間を狙ったバイクです。練習用としてや成人女性のファンバイクとしてもオススメです」と話してくれました。
「子供のバイク入門でネックになるのがマシンの重さと音。マシンの重量が軽いので子供にとって初めてのバイクにはもってこいです。音は静かとはいえませんが4stとはまた違った排気音なので試してみるのもありかも。乗り味は思っていたほどピーキーさはないものの、ある程度のパワーは確保されていて面白かったです。スプロケットは子供が手を挟まないように工夫もされているので安心して乗せられるポイントだと思います。コストパフォーマンスもGoodなのでかなりおすすめです!」(渡會いずみ)
成田モトクロスパークをVENT MOTOで楽しみながら試乗するワタライ夫妻。様々な層にウケそうなブランドの今後の展開に期待したいですね。
ちなみに大崎氏は昨年の11月にEICMA(ミラノショー)、イタリア・ミラノの北東のレッコ湖の近くにあるVENT MOTO本社を訪れています。
最後の写真は「モタードのさらにローダウン仕様車で、160cmないくらい。これだけ足が付きますよ、という写真」とのことです。単に変なおじさんと思われないように説明してくれました(笑)。
「このカテゴリーはとかく安く作ることを主流としていて、コスト優先のため足回りが貧弱なことが多いですが、VENT MOTOはそこが違います。コストアップも断行する勇気があるブランドです。日本市場になかったカテゴリーを盛り上げていきたいですね」と大崎代表。
気になる方はスペック等ホームページでご確認を。また試乗会などに参加してみたり店で実車をチェックしてみてください!